世界に格差をばらまいたグローバリズムを正す ジョセフ・E・スティグリッツ2009/10/12 06:22

世界に格差をばらまいたグローバリズムを正す
ジョセフ・E・スティグリッツ 徳間書店 1890円

○市場と政府の正しい混合比率が重要。
政府の関与が必要な分野は、①基本的な教育 ②法制度の枠組み
③インフラ ④安全ネットの提供 ⑤ 競争と銀行と安全ネットの提供 ⑥完全雇用の維持と成長の促進
○教育は向上の手段(従来は脱出の手段)、教育の川上川下論マハティールの、
「頭脳流出は途上国から知的財産を略奪する行為、教育投資の回収を認めるべき。」は正しい議論。
○貿易の自由化 
 効率性上と成長拡大がもたらされるとしても、賃金の低下、失業率の上昇、国家主権の喪失など
負担を迫られるコストのほうが重い。
○貿易協定は、全般的に補助金を禁じながら、農産品だけ例外を容認。
貿易の自由化に関する次の二つの前提は否定する必要。
①自動的な貿易増加と経済成長
②トリクルダウン効果による成長の利益の社会的行き渡り
○より公平な利益配分とコスト負担
①累進性の高い所得税制の導入 ②調整支援、安全ネット、マクロ経済管理などの
政策強化による再就職環境の整備
③技術投資と養育投資の増加
○グリーンNNP 緑の国民純生産 資本の消却と資源の消耗と環境の劣化を織り込む
○国際社会の行動指針
①資源産業透明化構想 ②武器売買の削減 ③証明書の発行、ダイヤモンド、森林伐採 
④選別的な財政援助 ⑤基準の設定
⑥環境破壊の制限 ⑦強制措置 温暖化ガスを削減しない国の製品に関税をかける、
熱帯売り保護に報酬を払う、炭素共通税
○グローバルな独占を阻止するため、
①BSR運動 ②世界規模の競争法と監視機関 ③経営陣の刑事責任
④集団訴訟を可能に ⑤銀行の秘密主義を規制
が必要。