良寛 立松和平2012/07/31 07:21

良寛 立松和平 大法輪閣 2211円
「正法眼蔵」を買ったものの全然読み進むことができなかった私も、本書で、良寛の内面を借りた形で「正法眼蔵」の一端に触れた気がしました。
 忙しい時期ですが、惹き込まれ読了できました。

真夜中のパン屋さん 大沼紀子2012/06/17 07:18

真夜中のパン屋さん 大沼紀子 ポプラ文庫 午前0時のレシピ 651円、午前一時の恋泥棒672円 

 pm11~am5の間だけ店を開く、真夜中のパン屋「ブランジェリークレバヤシ」。母に家出された女子高生希実は、親戚の家と信じて居候を始める。店主のクレさん、天才パン職人弘基に加え、遺棄されっ子こだま、覗き魔斑目、ニューハーフのソフィアとキャラのたった登場人物が活躍する物語。忙しい合間に読んで心が温まりました。次も早く読みたい。

おそろし 宮部みゆき2012/06/10 17:04

おそろし 宮部みゆき 角川文庫 740円
変化(へんげ)は人の心が創り出すものなのでしょうね。
市井には、世にも恐ろしい「念」が潜んでいて、百物語の聞き手となった
三島屋の養女おちかのところに引き寄せられていく。おちかの運命は
いかに。
 仕事が忙しい合間に読むにはこういう趣向の本も面白いものです。

美姫血戦 富樫倫太郎2012/06/03 06:49

美姫血戦 富樫倫太郎 実業の日本社 1785円
 旧幕府軍人見勝太郎と松前藩重臣の娘蘭子に依頼され、戦の携帯食としてパンを納めることになった和菓子屋の藤吉は、函館のロシア領事館に住み込みパン作りのノウハウを知ろうとするが・・・。
北海道のパンの事始めと函館戦争が同時進行するストーリーに引き込まれて「函館売ります」と同様、一気に読み終えました。

ランドラッシュ NHK食糧危機取材班2012/04/16 04:37

ランドラッシュ NHK食糧危機取材班 新潮社 1575円
 2007~8年の世界の同時食料危機時には、国内価格が国際価格につられて高騰することを懸念し、印、露、ブラジル、アルゼンチンなど主要輸出国17カ国のうち10カ国が輸出制限。食料危機の再発に備え、富裕輸入国が海外農地の獲得に走り出したのがランドラッシュ。
 FAO事務局長は08年に、ランドラッシュについて、外国人所有の巨大農場が、現地人を劣悪な労働条件で雇い、飢餓に苦しむ地域からすべての生産物を海外に持ち出すという、不平等な新植民地主義的システムが作り出されるおそれと警告。
 ランドラッシュの背景には、米の「構造調整計画論」がある。
 「食料の南北格差を解消するには、各国が得意な産業分野に特化し、穀物の生産は米国などに任せ、途上国は、工業やコーヒー・綿花などに特化して外貨を稼ぎ、穀物は安く輸入すれば皆が発展可能」であるとして、世銀やIMFなどの国際機関によって実行。WTOも米国の食料システムのルールづくりの道具とされた。
 その結果、途上国(とIMF管理になったメキシコ、韓国)の地産地消の文化は破壊され、輸入依存体質へと変貌、途上国(とメキシコ、韓国)はアメリカのお得意様となった。
 グローバリゼーションによる国際分業の結果、途上国の食料生産基盤は完全に破壊され、食料危機の時には価格高騰や輸入制限に対し飢えるほかなかった。「構造調整計画」によって飢餓人口が逆に増加した事実はほとんど知られていない。
 ランドラッシュは、アメリカと穀物メジャーの食料覇権システムへの地殻変動の現れではないか。韓国や中国・インドは穀物を巡るパワーバランスの変化を冷徹に見極め生き残りをかけて迅速に動き出している。
→TPPに突き進むとどんな結果になるか、とても参考になる一冊でした。

イレギュラー 三羽省吾2012/04/13 05:01

イレギュラー 三羽省吾 角川書店 1260円
台風による土砂崩れで、村全体が押し流された蜷谷村。マネージャーを含めて10人の弱小蜷高野球部は、選抜出場のK高のグラウンドを借りて夏の大会出場に向けて始動する。蜷高ナインは、避難所生活で鬱屈した想いを募らせる蜷村村民の希望の星となれるのか。
 災害避難者の心情が丁寧に書き込まれており、震災に会われた方々を思いながら一気に読みました。

きのうの神様 西川美和2012/04/10 03:42

きのうの神様 西川美和 ポプラ社 1470円 
 小さな村で暮らすこと、そこに住む人々を診ること、大病院で手術に明け暮れること等々。同じ高さの目線で、日常に潜む不条理に対する諦観と情感を描いた小説。
映画監督が描く小説だけに情景が目に浮かび、心に響く短編集でした。

ぼろぼろになった人へ リリー・フランキー2012/04/08 21:06

ぼろぼろになった人へ リリー・フランキー 幻冬舎 1470円
 都会生活を離れ農家にお見合いにやってきた多恵子を迎えたのはランボルギーニに乗ったおじいさん。彼らが栽培している作物とは・・・
 都会で病んでいく精神の癒しを探し求める人々の心の襞を描いた
作品集。

パスタマシーンの幽霊 川上弘美2012/03/31 03:53

パスタマシーンの幽霊 川上弘美 マガジンハウス 1470円
 海の穴に住み魚を食べ、陸に上がり女(ひと)となって人間まで食べてしまう生き物「海石(いくり)」、料理好きのおばあちゃんが未練を残したパスタマシーン、自分の一大事に現れる「しっぽ」など、少し不思議で少しせつない掌編集。

ハチ公の最後の恋人 吉本ばなな2012/03/23 05:01

ハチ公の最後の恋人 吉本ばなな 中央公論社 1325円
宗教家のおばあちゃんの予言どおり、マオはハチと出会い彼の最後の恋人となる。マオは、別れが待つゆえに、ハチと過ごす瞬間瞬間を大切にし、様々な出会いで成長していく・・・。
清涼剤のような小説でした。